タイムズスクエア近くにあるInternational Center of Photographyで、「FOR ALL THE WORLD TO SEE: Visual Culture and the Struggle for Civil Rights」という展示があったので行ってきた。
1940年代後半から1970年代半ばにかけての、アフリカ系アメリカ人の公民権運動に関する資料の展示と、その中で写真・映像メディアが如何に大きな役割を果たしたかを伝えることが主眼であった。
特に印象に残ったのは2点。1点目は人種差別・人種隔離を明確に示す1940年代〜50年代の看板で、例えば「No Dogs, Negros, Mexicans」などと書かれているもの。自分の立場に置き換えて考えると、これ程胸くそ悪いものはない。
2点目は、1950年代に出版された「Second Annual Negro Consumer Market Survey」と「The Urban Negro Market Potential」という出版物。外側しか見えず何が書いてあるか分からなかったので何とも言えないけど、「黒人を購買力のある存在とみなしたことが、後の公民権法制定等に良い影響をもたらした」という趣旨の展示だったのだろう。これは興味深いところで、経済的利益を求める姿勢がどのようなベクトルで人種差別撤廃の方向に影響していたかは調べてみたいところ。
展示を見られたことについては満足だったが、企画全体としてはあまり良い印象を受けなかった。一つは、こうしてまとまった展示とすることで博物館化されて、あたかも人種差別が過去のもののように見えてしまうこと。もう昔のことですよ、と言わんばかりの印象を受けてしまうが、実際には差別的感情は色濃く残っている(とニューヨークに来て感じた)。
もう一つは偶然かもしれないけど、黒人の来館者が一人もいなかったこと。50人くらいの来館者がいた中で、だ。例えば上記のような人種隔離を示す看板などは、今見ても決して気持ちの良いものではないだろう・・・